協和キリングループの経営成績および財政状態などに関して、投資家の皆様の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスクです。これらのリスクに対して、リスク管理体制のもとで可能な限りその発生の回避に努め、発生した場合には対応に最善の努力を尽くします。

 

※文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2019年12月31日現在)において協和キリングループが判断したものです。

(1) 研究開発に関するリスク

 当社グループは、4大モダリティ(次世代抗体医薬、核酸医薬、新たな低分子医薬、再生医療)を機軸とした新薬創出型の製薬企業として魅力ある開発パイプラインの構築を目指しています。また当社グループは、創薬研究のプロセスに社外の情報の知見を活用するオープンイノベーションを意欲的に組み込んでおり、大学や医療機関、ベンチャー企業と一体となり、早い段階から共同で新薬の研究開発を進めています。しかしながら、長期間にわたる新薬の開発の過程において、期待どおりの有効性が認められない場合や安全性などの理由により研究開発の継続を断念しなければならない場合には、将来の成長性と収益性を低下させることとなり、当社グループの経営成績および財政状態などに悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 知的財産権に関するリスク

 当社グループは、知的財産権を厳しく管理し、第三者からの侵害に注意を払っていますが、当社グループの知的財産権が侵害された場合、製品の売上収益または技術収入が予定より早く減少することとなり、当社グループの経営成績および財政状態などに悪影響を及ぼす可能性があります。また当社グループは、他者の知的財産権を侵害することのないよう常に注意を払っていますが、第三者から侵害しているとして訴訟を提起された場合、差止め、損害賠償金や和解金の支払い等の発生により、当社グループの事業活動や経営成績および財政状態などに悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 副作用に関するリスク

 医薬品は、開発段階において厳しい安全性の評価を行い各国の規制当局の審査を経て承認されますが、市販後の使用成績が蓄積された結果、新たに副作用が見つかることも少なくありません。市販後に予期していなかった副作用が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態などに重大な影響を及ぼす可能性があります。

(4) 薬事行政などの影響に関するリスク

 当社グループが従事する医薬事業は、事業を行っている各国の薬事行政によりさまざまな規制を受けています。日本においては公定薬価制度による薬価の引き下げに加え、ジェネリック医薬品の使用促進など医療制度改革の動向は、当社グループの経営成績および財政状態などに悪影響を及ぼす可能性があります。海外においても、医療費抑制への圧力は高まっており、販売価格の下落を販売数量の伸長等でカバーできない場合には、当社グループの経営成績および財政状態などに悪影響を及ぼす可能性があります。

(5) 各種の法的規制リスク

 当社グループ事業の遂行にあたっては、事業展開する各国において、遵守すべき各種の法令等の規制があります。これら法令等の規制を遵守できなかったことにより、新製品開発の遅延や中止、製造活動や販売活動ほかの制限、企業グループとしての信頼性の失墜等につながる可能性があります。当社グループではコンプライアンスを法令遵守だけではなく、社会の要請をいち早く察知し、倫理的に行動することと捉え、役員および従業員一人ひとりがとるべき全般的な行動を「協和キリングループ行動規範」として定めています。コンプライアンスを強化するために、四半期ごとに開催されるグループCSR委員会において、コンプライアンスの遵守状況と重要課題への対策の進捗状況を議論し、取締役会に報告することで継続的な改善を進めています。また、行動規範に反する行為やグループのブランド価値を著しく損ねる行為を予防し早期発見・是正するために、内部通報窓口を設けています。

(6) 為替レートの変動によるリスク

 当社グループは、海外への製品販売・技術導出や海外からの原料購入等の外貨建取引を行っており、急激な為替レートの変動は、当社グループの財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。加えて、為替レートの変動は、当社グループと外国企業が同一市場において販売する製品の価格競争力にも影響を及ぼす場合があります。また、海外の連結子会社の現地通貨建ての損益および資産・負債などは、連結財務諸表作成のために円換算されるため、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

(7) 災害・事故などの影響を受けるリスク

 各地で起こりうる地震・台風などの自然災害、インフルエンザなどのパンデミック、大規模停電、その他の災害・事故などにより、当社グループの本社、工場、研究所、事業所などが閉鎖または事業活動が停止する可能性があります。また、当社グループはさまざまな法的(ガイドライン)規制を受ける物質を取り扱っており、自然災害など何らかの原因で社外へ漏出した場合には、周辺地域に被害が及ぶ可能性があります。甚大な事故・災害などが発生した場合には、多大な損害の発生のみならず、内容によっては企業グループとしての社会的な信頼性の低下を招く可能性があり、当社グループの経営成績および財政状態などに悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、通常の事業活動が継続困難に陥った場合においても、医薬品の安定供給を継続するために、事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)を策定し、訓練やワークショップを通してBCPの継続的な改善を進めています。

(8) 訴訟に関するリスク

 事業活動に関連して、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題、公正取引などの問題で訴訟を提起される場合には、当社グループの経営成績および財政状態などに悪影響を及ぼす可能性があります。

(9) ITセキュリティと情報管理に関するリスク

 当社グループは、各種情報システムを使用しているため、システムへの不正アクセスやサイバー攻撃を受けた場合は、システムの停止や秘密情報が社外に漏えいする可能性があります。当社グループでは、年々多様化かつ巧妙化するサイバーセキュリティ上の脅威への対策として、グループ情報セキュリティ管理体制のもと、情報セキュリティレベルを向上するための取り組みを進めています。また、サイバーセキュリティの脅威に対する技術的な対策に加え、従業員の情報セキュリティに対する意識レベル向上のための教育・研修を実施し、情報の適切な管理を徹底するため継続的な改善を進めています。

(10) 環境に関するリスク

 当社グループは、大気、水質、騒音、振動、悪臭、土壌汚染、地盤沈下、廃棄物などの環境諸法令遵守を徹底しています。しかしながら、環境汚染などの環境保全上の問題が発生した場合や関係法令の改正などにより、周辺地域への補償責任や環境改善に要する費用発生、または新たな設備投資などの必要性が生じた場合には、当社グループの経営成績および財政状態などに悪影響を及ぼす可能性があります。

(11) 他社との提携などに関するリスク

 当社グループは、他社との共同開発、共同販売、技術提携および合弁会社設立などの提携、または医薬品の原料供給、製造、物流、販売などに関して国内外のサプライヤーへ業務を委託しています。しかしながら、何らかの原因により提携・業務委託による成果物に問題が発生または成果物が得られなかった場合や、契約変更や提携解消などが発生した場合は、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、契約書にコンプライアンス条項の明記を進め、サプライヤーに対して、コンプライアンスの徹底を求めています。また、サプライチェーンを構成するサプライヤーの心構えや行動を「サプライヤー行動指針」として定め、サプライヤーに理解いただいています。さらに、サプライヤー行動指針に記載された項目についてアンケートを実施し、結果をサプライヤーにフィードバックするとともに、コンプライアンス活動の実態把握や、その取り組み状況の改善を促す活動にも取り組んでいます。

(12) 人材確保・育成に関するリスク

 当社グループは、日本・EMEA・北米・アジア/オセアニアという4つの地域軸と、地域を越えた機能軸のマトリックスにより、多様な背景を持つ人たちが、自らの持つ能力を発揮して国内外の事業活動を推進するグローバルマネジメント体制「One Kyowa Kirin」の定着を進めています。しかしながら、グローバルマネジメント体制を担う人材を育成、採用できない場合は、当社事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは「協和キリングループ人材マネジメント基本方針」を定め、社員と会社の関係、および社員の能力開発に対するグローバル共通の考え方を明示しています。

(13) 安定供給に関するリスク

 当社グループは、事業のグローバル展開にあたり、強固な生産体制の構築を進めています。しかしながら、製造施設・物流施設において技術上または法規制上の問題、原材料および燃料の供給停止により、製品の供給が停止または遅延した場合や、予想を上回る製品の需要増により製品の供給が不足した場合は、当社グループの経営成績および財政状態などに悪影響を及ぼす可能性があります。

(14) 他社競合・特許権満了に関するリスク

 当社グループ製品と他社製品との競合や、当社グループ製品の特許権満了後の後発品参入により売上収益が減少する場合があります。当社グループの主力製品の一つである腎性貧血治療剤ネスプの物質特許満了に伴う売上減少が、新製品の売上でカバーされない場合は、当社グループの経営成績および財政状態などに悪影響を及ぼす可能性があります。

(15) 海外事業展開に関するリスク

 当社グループは、グローバルマネジメント体制のもと、事業のグローバル展開を進めており、2018年には2つのグローバル戦略品Crysvita(日本製品名:クリースビータ)およびPoteligeo(日本製品名:ポテリジオ)を、2019年にはパーキンソン病治療薬であるNourianz(日本製品名:ノウリアスト)の米国承認を取得しました。成長のキードライバーであるこれらグローバル戦略品の価値最大化を図ることで、経営目標の達成を目指しています。しかしながら、海外事業展開を担うグローバルマネジメント体制構築が計画どおり進まない、新規上市国での薬価が想定より大幅に下回る、上市準備が遅延し事業エリア拡大が遅れる、予定どおり市場に浸透しない、売上が予測を大きく下振れするまたは品質や製造トラブルの発生などにより売上が想定と異なる場合は、目標の達成が困難になる可能性があります。また、海外への事業展開にあたっては、テロまたは紛争による政情不安、経済情勢の不確実性、文化や慣習の違いに起因するトラブルなどのリスクが存在します。このようなリスクを回避できない場合は、当社グループの経営成績および財政状態などに悪影響を及ぼす可能性があります。

(16) 製品品質に関するリスク

 医薬品製造にはGMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造管理および品質管理に関する基準)に適合した設備とシステムが求められます。さらに、製造した医薬品に関わる記録や分析データが取得された状態で完全に保管されることを保証するデータインテグリティが世界標準となっています。従って、各国当局のGMP査察や社内監査においてデータインテグリティ違反など、GMP上の重大な問題が見つかった場合には規制当局より製造停止を指示される可能性があります。また、使用する原料や製造工程において、何らかの原因により製品の安全性や品質に懸念が生じた場合は、製品回収が発生する可能性があります。当社グループでは、高品質な医薬品の安定供給のために、グローバル会議体のもとで、各地域統括会社から報告される重大な品質関連事項についての協議、新たな製造場所の選定における品質面からの評価、製品の品質の定期的レビュー、課題別のグローバルタスクフォースの活動状況のレビュー、監査で確認された課題およびその対応状況のモニタリングなどを通じて、グローバル品質保証体制の継続的な改善を進めています。
 2019年には抗悪性腫瘍剤原薬(マイトマイシンC)の製造委託先である協和発酵バイオ(株)の製造過程において、無菌性の確保に影響しうる事実が判明したことから、マイトマイシン注用の無菌性が保証できないと判断し、同製品の自主回収を実施しました。本件につきましては、協和発酵バイオ(株)とともに本製品における原因究明にとどまらず、品質管理全般における問題点および再発防止策について継続して取り組んでいます。さらに、事実の調査と根本原因の究明をグループとして徹底的に行い、再発防止に向けては単に製造・品質保証体制の強化にとどまらず、企業グループガバナンス強化に取り組むべきと考えています。特に(1)経営の最優先事項として強固な品質保証体制の構築(2)リスクマネジメントの改善(3)企業文化の改革を重要課題として医薬品製造販売業者の責務を十分に果たすために必要な改善策を徹底して実行することで、製品の品質管理に一層万全を期し、かかる事態の再発防止に努めます。

(17) その他のリスク

 上記のほか、当社グループの経営成績および財政状態などに悪影響を及ぼす可能性のあるリスクとして、株価や金利の変動、固定資産の減損などが考えられます。